1998年に発表された(アルバム「心の時代」収録)『神の恵み』を、私は今、『新自分風土記Ⅰ望郷篇』で聴いている。
アメリカの戦艦から降り立った白い服を来た兵隊に、子どもたちが「ギブミー」とチョコレートをもらう。
ポケットはふくらみ、ひきかえに心はしぼんでいった
大人たちは誇りを失い ひきかえにチョコレートを神棚に飾った
と歌ったさだまさしさんは、1952年生まれなのでこの光景を自分で見たのではないだろう。
副題の A Day of Providence は「プロビデンス号が来た日」かもしれない。
しかしそれは1962年ごろ。それも寄港したのは横須賀で、長崎ではない。
戦争は、繰り返してはならない。
日本人が戦争で犯した過ちは語り継がなければならないと言われる。
しかし、現実問題として、戦争を体験して語れる人は年を経るごとに減っていく。
戦争は、戦争を知らない世代によって語り継がれるしかない。
さだまさしさんも、戦争を知らない世代だ。
それでも、進駐軍の兵士に「ギブミー」と言った人々に仮託して、戦争を語り継いでいる。
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